かわなみ食堂 ゆっくりゆっくり流れる時間
『今年はホントに良く降るねぇ~・・・。』
引き戸を開けて店に入り
『はい、いらっしゃいな』
という台詞の後に続いて聞こえてきた女将さんの言葉だ。
その人懐こそうな話し方はそれだけ人を安心させる力を持っているのかも知れない。
塩ラーメンを注文すると、ゆっくりゆっくり・・・でも確実なリズムを刻みながら作られていく一杯。
小さな鼻歌が聞こえてくるの聞きながら、私もゆっくりゆっくり本来の自分のリズムを取り戻してくのだった。
こちらから話しかけたわけでも無いのに、ぽつりぽつりと身の上話を語ってくれる。
戦後すぐにロシアから引き上げてきた方の営む食堂を手伝い、その時に基本のラーメンの作り方を教わったこと。
市内の有名ホテル「G」で働いた時のこと・・・。
オレはいつもより意識して、ゆっくりゆっくりラーメンを啜りながら、その言葉をスープと一緒に楽しんだ。
今のこのスープに辿りついたのは全くの独学だそうだが、独特のコクと甘い香りが特徴で、まさしくオンリーワンな一杯だ。
ニンニクの風味も食欲をそそる。
娘さん夫婦は全く違うジャンルで事業を営んでおり、残念ながらこの店には後継者と呼べる人はいない。
悲しいことだが、この味は女将さんの代で消えていく事になるのだろう。
この店の麺は他のお店に比較すると柔らかく仕上がっている。
そのことはわかっていたのだが、ここで「麺カタメ」という注文はなんだか野暮のような気がした。
麺を茹でるのも「ゆっくりゆっくり」なのだろう。
もしかすると女将さんの気持ちの中では、昔と同じ茹で時間なのかも知れない。
もうすぐ齢80になろうという女将さん。
『仕事は好きだけど、びっしり働くと腰が痛くてね』
と屈託無く笑う笑顔に何故か少し涙が出そうになった。
味噌・塩・正油も昔風も500円。
『かあさん・・・もっと値上げすればいいじゃない』
の私の台詞に
『いいんだよ。ワタシゃ借金も無いけど貯金も無いってことで有名なんだから』
と相変わらず屈託の無い笑顔を向けてくる。
だが、続けられた女将さんの言葉。
『あと1年か数年か・・・それぐらいしか働けないし』
という台詞は心に突き刺さってきた。
~~~~
自分にできることなんか何一つ無いし、時間を止めることができるわけでもない。
味の清ちゃん と同じく、「今この時代にそこにお店があり、この時代に食べることが出来ること」にせめて感謝しながら通うことにしよう。
ラーメンに限らず食べ物ってヤツは「味」だけなじゃく「その店の空気」も大切なんだとつくづく感じさせられるお店。
~~~~
『道が滑るから気をつけてね』
という言葉を背に受けながら、
『ゆっくりゆっくり運転して帰ります。ありがとうね!』
と引き戸を閉めながら返した言葉は届いただろうか?
ここ最近の忙しかった自分・・・・。
なんだか「余裕」が無かったかも知れない。
今日は本来の自分らしいリズムを取り戻せたような気がする。
「今日の一言」
この先の
時間もゆっくり
なればいい
↑ぽちっとクリックしてくれたら嬉しいです(^^;;
引き戸を開けて店に入り
『はい、いらっしゃいな』
という台詞の後に続いて聞こえてきた女将さんの言葉だ。
その人懐こそうな話し方はそれだけ人を安心させる力を持っているのかも知れない。
小さな鼻歌が聞こえてくるの聞きながら、私もゆっくりゆっくり本来の自分のリズムを取り戻してくのだった。
こちらから話しかけたわけでも無いのに、ぽつりぽつりと身の上話を語ってくれる。
戦後すぐにロシアから引き上げてきた方の営む食堂を手伝い、その時に基本のラーメンの作り方を教わったこと。
市内の有名ホテル「G」で働いた時のこと・・・。
オレはいつもより意識して、ゆっくりゆっくりラーメンを啜りながら、その言葉をスープと一緒に楽しんだ。
今のこのスープに辿りついたのは全くの独学だそうだが、独特のコクと甘い香りが特徴で、まさしくオンリーワンな一杯だ。
ニンニクの風味も食欲をそそる。
娘さん夫婦は全く違うジャンルで事業を営んでおり、残念ながらこの店には後継者と呼べる人はいない。
悲しいことだが、この味は女将さんの代で消えていく事になるのだろう。
この店の麺は他のお店に比較すると柔らかく仕上がっている。
そのことはわかっていたのだが、ここで「麺カタメ」という注文はなんだか野暮のような気がした。
麺を茹でるのも「ゆっくりゆっくり」なのだろう。
もしかすると女将さんの気持ちの中では、昔と同じ茹で時間なのかも知れない。
もうすぐ齢80になろうという女将さん。
『仕事は好きだけど、びっしり働くと腰が痛くてね』
と屈託無く笑う笑顔に何故か少し涙が出そうになった。
『かあさん・・・もっと値上げすればいいじゃない』
の私の台詞に
『いいんだよ。ワタシゃ借金も無いけど貯金も無いってことで有名なんだから』
と相変わらず屈託の無い笑顔を向けてくる。
だが、続けられた女将さんの言葉。
『あと1年か数年か・・・それぐらいしか働けないし』
という台詞は心に突き刺さってきた。
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自分にできることなんか何一つ無いし、時間を止めることができるわけでもない。
味の清ちゃん と同じく、「今この時代にそこにお店があり、この時代に食べることが出来ること」にせめて感謝しながら通うことにしよう。
ラーメンに限らず食べ物ってヤツは「味」だけなじゃく「その店の空気」も大切なんだとつくづく感じさせられるお店。
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『道が滑るから気をつけてね』
という言葉を背に受けながら、
『ゆっくりゆっくり運転して帰ります。ありがとうね!』
と引き戸を閉めながら返した言葉は届いただろうか?
ここ最近の忙しかった自分・・・・。
なんだか「余裕」が無かったかも知れない。
今日は本来の自分らしいリズムを取り戻せたような気がする。
「今日の一言」
この先の
時間もゆっくり
なればいい
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